マリコスト・ルーム倉田まり子




ウルトラマン80

 
「さすが!観音さまは強かった!」(第42話)

 
1981年1月28日(水)19:00〜19:30 30分
 TBSテレビ

   作 石堂淑朗

音楽 冬木 透

監督 東條昭平

特技監督 佐川和夫

製作 円谷プロダクション、TBS

出演
長谷川初範、大門正明、古田正志、岡本達哉、石田えり、白坂紀子
倉田まり子、石山雄大、千葉裕子、山本一人、倉沢満夫、柳谷寛、鶴田忍、きくち英一
中山仁(敬称略・クレジット順)


 
物語
その昔、江戸時代の大泥棒が盗んだ千両箱を隠したと伝えられる栃木県大谷町、これを発見せんとする二人の男、
大林と武田が現れた。二人は当時の事情をあれこれと探り出し、平和観音像のすぐ近くであるにも拘わらず、

ダイナマイトを使っての発掘を敢行しようとしていた。近くに住む小学生の信夫は毎日観音様に何やらお祈りをしていて、

この不審な二人組を見つける。その晩から信夫は、観音様が泣いている不思議な夢を見るようになる。

現地での異常な地磁気の異変の調査に当たったUGMの矢的隊員(ウルトラマン80)は二人組を見つけるが、

ダイナマイトは爆発し大音響と共に観音像は横倒しになり、ムチ腕怪獣ズラスイマーが地底からあらわれた。

観音像は、地底に怪獣を封印するためのものだったのである。UGMの攻撃も効かず、暴れる怪獣。

そしてウルトラマン80(エイティ)が登場するも、ズラスイマーの猛攻に苦戦する。そのとき、信夫少年と住民たちは、

観音像で怪獣を封じ込められることをエイティに呼びかける。

エイティが倒れていた観音像を立ち上げると、はたしてズラスイマーは力を失い、再び地底に封じ込められた。

翌日、信夫と両親がUGMに別れを告げたときに、一台の乗用車がその場にやって来る。車の中から出てきたのは、

アイドルの倉田まり子であった。倉田まり子の大ファンであった信夫は、照れながらも記念写真を撮ってもらうのであった。

レビュー

歌の一曲も唄ってもらいたかったのですが、まり子さんはストーリーに絡むこともなく、出演時間も最後の1分足らずで
す。また、最初からまり子さんがキャスティングされていた訳ではなく、松田聖子→三原順子→まり子さんというスケジュ
ール其の他の都合で、お鉢が廻って来たことは、よく知られた事実です。このウルトラマン80のドラマ部分は国際放映
が撮影協力をしていたという話もあるので、先の「ケンちゃんチャコちゃんシリーズ2作品」の出演経験が繋がりに
なったのかもしれません。

劇中で「近くで映画の撮影があって・・・」という台詞があり、当時真に受けてしまった私は「まり子さんの映画が出来るのか
な?」などと思ったりもしました。また、TBSで「刑事犬カール2(1981年)」が製作されると聞いた時も「ひょっとすると
まり子さん主演?」などと、根拠の無い期待を抱いたときもありました。(笑)


千両箱を狙う二人組のうち、髭の男・武田役は「帰ってきたウルトラマン」の「中身」である、きくち英一氏であります。

大林役の鶴田忍氏は、ピープロの特撮ヒーロー「スペクトルマン」の名作と言われるノーマンの回で知られています。


住民の老人(台本では古老)役は、ウルトラQ「2020年の挑戦」や「あけてくれ!」などでの客演で知られる柳谷寛氏が、

観音様がこの地で重要な存在であることを象徴する役柄を好演しています。

脚本家の石堂淑朗氏は、「ウルトラマンタロウ(1973年)」の第14話でも、お地蔵さんを動かすと封印された怪獣が・・・
という「人間の欲をたしなめる」趣旨の似たような話を書いています。




    宇宙船VOL..6(1981年5月20日発行)より   バンダイから1999年10月25日に再発売VHS(第10巻)
1989年に発売されたLD、ビデオはこちらへ


2025年にはBlu-rayBOXも発売されました。

ただ、80に関しては過去2回発売されたDVDやBlu-rayは単品発売が無く、全話収録BOX仕様のみというのが、悩みどころです。


レンタル版DVDでは、第11巻に当エピソードが収録されています。

安価な全話収録北米版DVD(再生環境が必要)も発売されています。



☆台本と作品の違いについて

 キャスティングについては、レギュラー以外のゲストについては空欄であり、

役名の下に俳優名が鉛筆書きで書かれていました。

まり子さんの役柄は「XXちゃん(アイドル)」とあり、この台本では俳優名は空欄のままです。


台本と実作品の違いについては、ストーリーの根幹を変えるような大きな変更は無く、

一部の台詞が変更カットされている程度ですが、それらが実際に撮影がされた可能性はあるかもしれません。


シーン3 平和観音・広場(現代)

埋蔵金を探す二人組が広場でミカンを食べている時に観光ガイドの小父さんが観光客に

ガイドをする描写が台本ではあるが、劇中では数人の観光客がいるだけである。


シーン11 地下(大谷石)採掘場跡

信夫がUGMのイトウと矢的を地下採掘場に案内する際に以下の台詞が台本にはあった。

信夫「もっと奥に行こう」

イトウ「そりゃ有難いけど、学校に遅れるよ」

信夫「大丈夫、UGMの人を案内したと云えば怒られないさ」


シーン12 観音広場

埋蔵金を探す二人組が、観音像のある広場に出てきた際にUGMの専用車スカウターを

見つけるシーンが台本にはあり、以下のような台詞が存在した。

大林「あ!UGMの車だ!」

武田「何?」

大林「俺たちの事、何か嗅ぎつけて来たんじゃなかろうか!」

武田「バカ言え。UGMは警察じゃないんだ。俺達が千両箱を拾おうがどうしようが、関係ない」


シーン13 岩水家 食堂(夕)

信夫一家とイトウ、矢的が食事をしているシーンで、信夫が観音様に毎朝お祈りをしている理由を

「(アイドルの)XXちゃんに会いたいのさ」と言うと、劇中ではイトウが「誰だい?(劇中ではまりちゃん?)」

矢的が「さあ」と言う台詞があるが、台本ではそれぞれ信夫の父と母親の台詞となっている。


※劇中では、信夫のランドセルにまり子さんの雑誌切り抜きが貼ってあったり、

彼の自室にポスターなどが飾ってある描写があるが、台本にはそのような描写は無い。


シーン26 (観音)広場 月はない

夢に観音様が出てきた信夫と矢的は観音広場に来た。

劇中では「矢的猛は眼から赤外線を発射させた。そうすれば暗がりの風景もみな

お見通しになるのだ。だが、観音像に何の変化も無かった。しかし、わずかな音を猛の耳が捉えた。

そこで猛は、ウルトラアイで見ることにした。」とナレーションにある


このくだりは、台本では「矢的隊員は眼から赤外線を発射させる。そうすれば暗がりの風景もみな

お見通しになるのだ。」--と、観音像の根っこのかげで、ダイナマイトの導火線をごぞごそやっている

悪の二人の姿が、仄かに見えるのである。

「ウルトラアイ」という言葉はもともと台本には無かったが、この台本には鉛筆の手書きで欄外に

「ウルトラアイ」と書き加えられている。


シーン29 ズラスイマー

怪獣ズラスイマーが傍若無人に暴れまわるシーンで、蹴った大谷石が自分に当たり痛がるシーンで、

ナレーションでは「怪獣は大谷石が見たよりは余程堅いのを知らなかったのだ」となっている。


台本では、上記に加え「勉強不足だ」となっている。


シーン53 大谷石の岩上

台本には、「矢的走って上り、えい!と宙にダイビング 変身!」とあるが、

劇中描写は岩陰で普通に変身ポーズをしている。


シーン55 広場の隅

80がズラスイマーと戦う姿を見守る人々のシーンで、古老が「いや、エイティも駄目じゃろう。魔物を退治できるのは、

神か仏の(お)力だけじゃ」という台詞の前に信夫が「勝てると思う?」そしてイトウが「思う」という台詞が

台本にのみある。


シーン60 両者の斗い

このシーンのみ、台本の怪獣の名称が「アマンジャゴン」となっている。

これが、ズラスイマーになる前の怪獣の仮名だったのかもしれない。


エイティが観音像をズラスイマーの前に掲げるシーンで、台本には「観音像、生き物のように右手をあげる」とあるが、

劇中にはそのような描写は無い(あったら、逆に怖い)。


シーン62 道

 劇中では道でなく河原であるが、おそらくは撮影スタジオの東宝ビルド近辺の多摩川周辺でのロケで

あったのではないかと思われる。

ゲストのアイドルを乗せてくるシーンは、「もう一台のUGMの専用車スカウター」と台本にあるが、

実際のシーンでまり子さんが乗ってきたのは、黒のコロナマークUだった。

スカウター(マツダRX-7がベース車の撮影車)が、実際に2台あったのだろうか?

また、劇中ではまり子さんの「こんにちは、倉田まり子です。よろしく」という台詞があるが、

台本上では、ゲストアイドルの台詞は全くない。



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